2020年3月21日土曜日

クリームの考えるオートノミートレーニング「理論編ver.1.1 」中巻

クリームの考えるオートノミートレーニング「理論編ver.1 」中巻
【オートノミートレーニング理論の特徴 その1】

「対象依存」を解除せよ! by グロッサルト

 オートノミーの「オートノミー性(自律性)」は前にも書きましたが、眩いばかりの理論の中核です。しかし「自律性」をダイレクトに理解しようとするのは、まるで巨大エネルギーを放つ太陽の活動を直接観測し理解すると同じく困難を伴います。

太陽の活動を観察するには太陽の「黒点」を観察すると良いと聞いたことがありますが、「自律性」の対立概念である「対象依存性」を理解することは、あたかも太陽の黒点を理解し、それを通して太陽を理解できる様なものだと考えています。

そこで、「対象依存性」について説明させて頂きます。

対象依存性→「対象」+「依存性」と言葉を分解してみましょう。

まず、依存性(症)ですが、どんなイメージでしょうか?
アルコール依存、薬物依存、スマホ依存、ギャンブル依存などなど。。。

依存(症)の特徴として
—————————————
@ 本人に自覚がないことが多いが他者には分かりやすい
 脳が報酬(ごほうび)を求めてエスカレートする
本人がやめたいと思ってもどうにもならないことが多い
叱責や処罰ではむしろ状況を悪化させる
依存対象のことを大事にしすぎることにより、自分や家族に不都合が生じる
—————————————
などがあると思いますが、対象依存性の「依存」のイメージも上記とほぼ同じでいいと思います。


次に「対象」ですが、「対象」とは上記の「依存」を引き起こさせる「特定の人物」(存命か存命でないかは問題ではない)と言えます。

対象依存は他の様々な依存症と同じように、「対象」に「依存」しているのですが、クライアントの無意識の領域に埋れていて、認識出来ていないことが多いと言えます。そして、その「対象」の影響を過去・現在・未来と持続的に受けることにより、一見安定している様に見える日々の生活も、実は対象に縛られた硬直した生活で、真の幸福を感じることが出来ない状態を引き起こしています。

言わば「自分」の人生ではなく、「対象の人物」の人生、具体的には「母親」や「父親」の人生を生きていることが多いのです。

あなたの目の前のクライアントは、もっと素直に「今の自分」の人生を生きられるはずです。どのクライアントにもその能力や資格も十分にあります。ただ、それに気づかなくこれまで生きているのです。

クライアントの現在感じる「苦しさ」は深層心理の中の「本当の自分」が「対象の人生」ではなく「自分の人生」の生きたいと、ドアをノックしているサインとクリームは理解しています。


「対象依存」を感情を伴って理解せよ! byグロッサルト

クライアントが「対象依存」状態に「気づく事」と、その依存の解除の為の「解決法を見出す」事は、コインの表裏のような状態で実は一つの事象と思うようになりました(「上巻」オートノミートレーニングの枠組み、のステップ34)。しかし、その事を同時に行う(一回のセッションの中で行う)事が、実はオートノミートレーニングの最大の難しさであると私は感じています。

「対象依存に気づく」事と「解決法を見出す」事は一見、同時にする事は必要ない様にも見えます(以前、私もそう感じてました)。しかし、コインの製造過程において、表面と裏面とを作った後、両面を接着して作らない様に造幣局ホームページ 貨幣はこうしてつくられる!  オートノミートレーニングも後で「対象依存に気づく」と「解決法を見出す」をくっつける事は不可能です。

つまり、クライアントが感情を伴い「あ~そうか!」と真に納得することで依存していることに気付く(クンプト、クナップクンプト)と同時に解決方法を導き出さないと、価値を持ったコインにはなりません。片面づつコインを作ってそれをくっつけると、表裏がずれて不良品になっていまうと思いませんか?

つまり、「感情を伴う」(心から納得する)というのは、金属の板を加熱軟化する操作と一緒で、とても重要なポイントと言えます。

また、クライアントにトレーナーの考えを「押し付ける」ことや「クライアントが押し付けられた」と感じる面談手法は禁忌と言われています。その理由は、そうすることは、かえってクライアントの心理的反発を招き、面談は失敗するからです。

ですので、面談では十分に感情的に「ホットになり軟化されている状態」で理屈や理論ではなく「対象依存があったことを納得」したり、「解決法を受け入れられる」状態にしておくことが必要です。

その手法がオートノミートレーニングが大切にしている「クライアントの可能性をひたすら信じる傾聴」であると思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿